琉球七御嶽NANJO, OKINAWA
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フボー御嶽ふぼーうたき

南城市知念・久高島全面立入禁止安座真港から船

フボー御嶽には、年間を通じて立ち入ることができません。 入口の看板には「最高の聖域です。何人たりとも出入りを禁じます」とあります。
久高島の公式案内は、御嶽や拝所を「私たちが大切に護ってきた心の拠り所」であると伝えています。
その背景を知って、立ち入らずに大切にする。このサイトは、そういう案内をします。

画像枠:入口の看板掲載は入口まで。奥の写真は使いません。

島の人も入らない

年に一度の祭祀の日を除いて、誰も立ち入らない。

遠くから拝む

ウトゥーシ(遥拝)が、ここの正しい拝み方。

島にはルールがある

渡る前に必ず読む。石ひとつ持ち出さない。

この記事の書き方。久高島はルールを守らない来訪者に実際に困っています。行き方より先に拝み方とルールを書きます。

本島から拝む

斎場御嶽の最奥からも、知念岬からも、久高島を遥拝できます。斎場御嶽の記事 →

出典と確認状況
  • 島のルール:久高島公式(外部リンク)
  • 看板文言:現地表記。掲載前に文字起こしで再確認
  • 祭祀期間の立入制限:未確認(NPO法人久高島振興会に確認)

HOW THE LAND IS HELD

土地を、どう受け継いできたか

久高島には、土地の持ち方についての取り決めがあります。 久高島土地憲章といいます。
入口で止まる前に、この島がどういう島なのかを知っておくと、同じ景色の見え方が変わります。

憲章は、前文でこう宣言しています。

久高島の土地は、
字久高の総有に属する。

① 土地を、共同で受け継ぐ仕組み

久高島の土地は、固有地などの一部を除いて、従来字久高の総有に属し、 字民はこれら父祖伝来の土地について使用収益の権利を享有して現在に至っている。 字はこの慣行を基本的に維持しつつ、良好な自然環境や集落景観の保持と、 土地の公正かつ適切な利用、管理との両立を目指すものである。 久高島土地憲章 前文

すべての土地が、というわけではありません。前文には「固有地などの一部を除いて」とあります。 その例外を除いた土地について、字(あざ)=集落が共同で持ち、字民に使用収益の権利がある—— そういう仕組みです。

② 使うには、みんなの承認が要る

  • 家を建てるとき土地管理委員会の決定と、字会の承認が要ります(第二条)
  • 畑を新たに使うとき同じく決定と承認。5年以上放棄すると字へ返します(第二条)
  • 使い終わったとき現状に復して、字へ返します(第二条)
  • 取り決めを変えるとき基本原則の変更には、字会の総意が要ります(第九条)

運営するのは土地管理委員会。区長・書記・村会議員・農業委員・郷友会代表を含む 13名で構成され、久高島離島振興総合センター内に置かれます(第三条・第四条)。

この憲章は 1988年(昭和63年)12月3日から施行されています。 1999年(平成11年)8月14日に一部改正され、同日から施行されています(附則)。

出典:南城市『南城市久高島総合計画:基本構想』94〜95ページ「2 久高島土地憲章」

③ フボー御嶽は、国の名勝です

『南城市久高島総合計画:基本構想』には、こう記されています。

海岸線の植物群落が国指定となり、フボー御嶽(クボー御嶽)が 国の名勝として指定されたことは島の誇りである 『南城市久高島総合計画:基本構想』23ページ

同じ資料は、こうも記しています。

何もないけど何かがある」と観光客が表現し評価しているのは 北側の神の領域として手付かずの自然が残ったことへの評価でしょう 同 23ページ

④ 島の案内は、こう書いています

御嶽(うたき)や拝所(うがんじゅ)は、 私たちが大切に護ってきた心の拠り所です 久高島 公式サイト「島でのルール」

同じ案内に、フボー御嶽は通年立ち入れないこと、 時期によって禁じている場所がほかにもあることが明記されています。 石も砂もサンゴのかけらも持ち帰らないこと、畑や敷地に無断で入らないこと、 ヤシガニを獲らないことも書かれています。ルールは一つではありません。

ここまで読んでから、入口に立ってみてください。
土地を集落で受け継いできた島で、北側は手つかずのまま残されました。
その背景を知って、立入制限を守る。風景の奥にある暮らしと祈りへ、思いを向けてみませんか。

※この最後の一段落は、このサイトから旅人への呼びかけです。 島の方の言葉ではありません。

土地憲章:南城市『南城市久高島総合計画:基本構想』94〜95ページ(前文・第一条〜第十条・附則)
国の名勝/「何もないけど何かがある」:同 23ページ
島のルール:久高島 公式サイト「島でのルール」
『南城市の御嶽』の特別寄稿「南城市 嶽々・グスク物語」を書いた民俗学者 湧上元雄は、 1918年、旧玉城村(現在の南城市)の生まれです。折口信夫に学び、南城市史編集委員長を務めました。 この土地のことを、この土地の人が記録してきました。

UTOUSHI

くわしい版

ウトゥーシ(遥拝)— 遠くから拝む

入れない聖地があります。それでも、拝むことはできます。 沖縄には「ウトゥーシ」という、その場所へ行かず、方角に向かって拝む正式な作法があります。 近づくことだけが敬意ではありません。

フボー御嶽は、このサイトのなかでウトゥーシがいちばん深く関わる場所です。 だからここでは、他のページより詳しく書いています。

まず、二つの「入らない」を分けてください

作法

フボー御嶽に入らない

島に着いていても、入りません。入口の看板の手前で拝みます。
これは「行けなかった」ではありません。はじめから、そういう拝み方です。 入らないことが、ここでの参拝です。

その日の海

久高島に渡れない

船が止まった日。時間が足りなかった日。
このときも、同じ作法で拝めます。安座真港から、知念岬から、斎場御嶽から。
渡れなかったのではなく、そう拝んだ日になります。

どちらも作法は同じです。ちがうのは理由だけです。 ひとつ目は最初から決まっていること。ふたつ目は、その日に決まること。 この二つを混ぜないでいただけると、久高島の拝み方がそのまま分かります。

拝み方は、三つだけ

  1. 入口で、止まる

    立入禁止の表示より先へは進みません。表示がなくても、拝所には踏み込みません。 拝む場所は、入口の手前で構いません。距離をとることが敬意です。

  2. 拝む先の方角へ、向く

    方角を測る必要はありません。フボー御嶽なら、看板の向こう。 島の外から拝むときは、海の向こうに久高島が見えます。見えているほうへ向いてください。 雨や霞で見えない日は、海のほうへ。
    遠く隔たった位置から拝むことは、思いつきではありません。首里の弁ヶ嶽は、 久高島と斎場御嶽を拝むための場所として、実際に使われてきました。

  3. 静かに、手を合わせる

    声を上げないでください。祈っている方がいたら、離れて待ちます。 写真は撮りません。供物や石を置いていくこともしません。 何を唱えるか決まりはありません。手を合わせるだけで足ります。

実際に、こう拝まれてきました

拝む場所拝む先
弁ヶ嶽那覇市首里汀良町 久高島 / 斎場御嶽
斎場御嶽 の最奥南城市知念 久高島
※三庫理は立ち入り制限が行われております
伊敷泊(浜)久高島 ニラーハナー(海の彼方の神々の世界)
台所の火ヌ神(ヒヌカンふつうの家の中 外界の特定の神々

いちばん下の行を、もう一度見てください。
遥拝は、家の台所からでも行われてきました。 聖地に立つことが条件なら、この行は成り立ちません。 その場所に立てないことは、拝めないことではない——それが、この土地でずっと前提だったということです。

だから、久高島に渡れなかった旅も、フボー御嶽に入らなかった旅も、 欠けた旅ではありません。

出典:南城市『なんじょうデジタルアーカイブ 歴史文化語彙一覧』「ウトゥーシ」の項

IF THE BOAT STOPS

船が止まった日も、拝めます

久高島へ渡る船は、風と波でしばしば止まります。前の日まで穏やかでも、当日の朝に欠航が決まることがあります。

それでも、この日が無駄になることはありません。

沖縄にはウトゥーシ遥拝という作法があります。その場所へ行かず、方角に向かって遠くから拝む——これは「行けないときの代わり」ではなく、古くからの正式な拝み方です。

首里の弁ヶ嶽べんがだけは、久高島と斎場御嶽を拝むための場所として、長く使われてきました。久高島の伊敷泊いしきどまりの浜は、海の彼方のニラーハナー神々の世界への遥拝所とされています。台所の火ヌ神(ヒヌカン)が、外の神々への遥拝の役目を果たすこともあります。

遠くから手を合わせた人は、拝まなかったのではありません。そういう拝み方をした、というだけです。

船が止まった日に、拝める場所

場所そこから見えるもの
安座真港(あざまさんさんビーチ)海の向こうに久高島。港からそのまま拝めます
斎場御嶽最奥から久高島を望みます
※三庫理は立ち入り制限が行われております
知念岬公園久高島を正面に望む高台

出典:南城市『なんじょうデジタルアーカイブ 歴史文化語彙一覧』「ウトゥーシ」の項

BEFORE YOU CROSS

渡る前に、読んでください

久高島は、いまも祭祀が続く島です。気軽に行く場所ではありません。 これを読んでから、船の時刻を確かめてください。

  1. 島のものは、持ち出さない

    石も砂も草も。小さなひとつも持ち帰らないでください。

  2. 立入禁止の場所に入らない

    表示がある場所はもちろん、表示がなくても拝所には踏み込まないでください。

  3. 祭祀の期間は、島全体で立入が制限されることがある

    渡る前に、島の案内をご確認ください。

  4. フボー御嶽には、入れない

    入口から拝みます。入らないことが、ここでの参拝です。

まずは、久高島の祈りと島民の想いを深く学んでください。
その後、素晴らしい久高島への行き方・回り方、船やバスの時刻をご覧ください。

PLAN

この場所の回り方

BUS

帰りのバス

公共交通データ:特定非営利活動法人OTTOP(CC BY 4.0)